言葉に命を懸ける動物たち

犬を飼っていると同じような日々の繰り返しでも構わないんだと思わされる。
彼らはそこに疑問や目的を求めない。
“こうなりたい”が幸せの感覚を麻痺させる。
いつもツラい自分、いつも何かを待ってる自分。
峠を超えても峠がある。
終わりはないのに、道を尋ねればみんな指差す。
「そこまで行けば大丈夫」なんて言われて、また耐える。

前に恋人から言われた。
「別に頑張るのはいいけど、今のままでも素敵だよ」
大したセリフではないけど、自分には沁み入った。
僕はずっと誰かにこの言葉をかけてほしかったのだと思う。

人はたった1つの言葉をかけてもらうために、森をさまよい歩ける稀有な動物だ。
たった1つの言葉が欲しくて、セックスし歩いたり、ギリギリまで自分を追い込んだり、時には命を落とす。

大学時代、理由のない焦燥感で眠れない夜に片っ端から友達に電話したことがある。
そのときにほしかったセリフはこれだったのかもしれない。
ずっと誰かに言って欲しかった。

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