ゲイにとっての禁句?「本当はノンケに生まれたかった」

別冊宝島EX ゲイのおもちゃ箱

「本当はノンケに生まれたかった」
「ノンケに生まれて、普通に恋愛して普通に結婚して普通に子供を作って…」
このセリフ、そんなに珍しいセリフでもありません。
僕もかなり24ぐらいまでは、よく口に出して言ってました。
当然ですが、これを言っている間は幸せになることはできないし、友達を失くします。

友達が失恋した僕を励ましてくれたことがあります。
まだあまり長い付き合いではなかったけど、親切な友達でした。
彼は「なんだかすごく落ち込んでいるようだね。なにか辛いことがあったの?」と僕に聞いてくれました。
僕は「うん。恋愛に依存しているせいか、恋愛が上手くいかない」とこぼすと、彼は「いい人そのうち見つかるって」と笑いかけてくれました。

しかし、その直後僕は禁句をほざいてしまいます。
「本当はノンケに生まれたかったよ…」
「ゲイは最悪、嫌だ…」
と呟くとなにか場の空有が凍りついたことに、鈍い僕でも気づきました。
さっきまで優しい笑顔を見せてくれていた彼は般若のような顔になっていたのです。
「あーそーいうことゆーんだ。もう勝手にすれば?」と帰っちゃったんです。
メールも返ってこなくなりました。
後から思い返すと、彼は新宿のACTAに行くようなゲイリブとは言いませんが、「前向きなゲイ」だったのです。
恋愛が上手くいかないことをセクシャリティのせいにした僕に腹が立ったんだと思います。
当時は「なんでぃこいつ。確かにそう思ってるんだし仕方ないじゃん。そんなに怒らなくてもいいのに」とふてくされただけでした。

今はわかります。
その友達の気持ちも自分の浅はかさも。
人生で物事が上手くいかなかったことを全部ゲイであることに責任転嫁してしまう癖がある限り、悩みごとは解決しません。
正しい原因を探すことをそこでストップしてしまうからです。
そして、相談相手のゲイにとっては屈辱的な言葉とも受け取られてしまいます。
まるで、目の前のお前と同類でなかったらよかったと言っているようなものです。

こうして僕は友達を失い、悩みを解決しませんでした。
でも、この経験を長い時間かけて吟味することで、僕は人生の本質を見極めることが一歩前進しました。
今でも申し訳なく思いますし、できれば謝り、できればありがとうと伝えたいです。

きのう何食べた?(1) (モーニングKC)
よしなが ふみ
講談社

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