殴るぞ! 1 (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL)

僕は恐喝と暴行まがいなことに遭ったことがあります。
大学1年の冬でした。
高校の頃から付き合っていた男と別れ、同級生の女と付き合い始めたときでした。
ノンケとして生きようと抵抗を始めた時期だったので、もともと気分は冴えず意気消沈していました。

その日、僕の家に遅くまで彼女がいたので、家まで自転車を押しながら送っていくことにしました。
時間は深夜1時を回っていました。
駅前から住宅街に入り、公園の横を歩いているとき、向こうから6人の男が現れました。
年齢はわかりませんが、16から20あたりの若い感じでした。
全員がビニール袋を口に当てていました。
シンナーの臭いがしました。
素通りしようとすると声をかけてきました。
「おい」「おい」「にいさん」「無視すんなよ。おい」
無言で前に進もうとすると、胸をどんと小突いてきました。
その手を払うと、「あ?なんや?」と言いながら全員で殴りかかってきました。
取り囲まれてしゃがみこんでしまった僕は、そのまま数分殴られました。
目から火花が散り、顔や体に衝撃と違和感を感じました。
僕は怖くて「すみません。すみません。」と命乞いしました。
しばらくすると、「女が金けっこう持ってた」と声が聞こえ、取り囲んでた男たちは去っていきました。
(警察からは4000円と聞きました。なんて謙虚な強盗団なんでしょう。)
僕は鼻血を垂らしたまま周囲を見渡したのですが、彼女の姿はありませんでした。
近くにあるアパートを一軒ずつ回って電話を貸してくれるように頼みましたが、誰も開けてくれませんでした。
ただ1人だけ、「すみません。ドアは開けられませんけど、ハンカチ使ってください」とチェーン越しにハンカチをくれました。
鼻血を拭って呆然としているとパトカーが来ました。
警察官にパトカーの後ろで事情を聞かれました。
最近、ここらへんで連続して起きているらしいのです。
簡単に調書を作ると「まあそれくらいですんでよかったね」と言って、さっさと帰ってしまいました。

帰ってきて、鏡を見ると顔が腫れてアンパンマンみたいになっていました。
それでも、骨が折れているわけでもないので、病院に行くほどではありませんでした。
しかし、僕は人一倍臆病なせいで、このことにとてもショックを受けました。
命乞いをしたことが、とても恥ずかしかった。
テレビドラマみたいに「彼女に手を出すな!俺を殴れ!」と言いながら、何度も立ち上がる。
いえいえそんなこと絶対できませんでした。
どちらかと言えば「うわ〜ん!置いていかないでえ〜」という感じでした。
おまけに僕は家に財布も携帯電話も置いていたので、何の役にも立たなかったのです。
彼女は「情けなかった」と電話で言い、僕たちはそれっきりでした。
たまらず高校の頃の男に電話をかけました。
フンと鼻で笑った後に「無理してノンケぶるからだよ。自業自得だね」と言われました。
時間が経つと殴られたことより、その2本の電話に腹が立ってきました。
日頃の行いが悪いと言われればそれまでですが。

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