佐世保の男

昔、出会い系掲示板でピアノの教師と知り合ったことがある。
痩せ細って、気も体も弱そうなオカマだった。
仮にガリ子と呼ぼう。
ガリ子は「あたし…この前、佐世保の男にフラれたの」とぽつりぽつりと、深夜のファミレスで失恋話を語り始めた。

3ヶ月前、ガリ子は佐世保の男と出会った。
バーでガリ子がピアノの話をしていると、佐世保の男が「ピアノ教えてくれん?」と話しかけてきたらしい。
佐世保の男は「月光」が弾けるようになりたかったらしい。
ガリ子は週に3回「月光」を教えるために、佐世保まで足しげく通った。
練習の後は抱いてくれる佐世保の男にガリ子は夢中になった。
そして、佐世保の男は練習の甲斐あって、「月光」を弾けるようになったらしい。
それから数日後、ガリ子は連絡が取れなくなった佐世保の男の噂をおしゃべりなバーのママから聞かされる。
最近、佐世保の男は片想いを実らせ、恋人ができたらしい。
もちろん、告白するときには「月光」を弾いたらしい。

僕は痛々しいエピソードに「授業料を請求すればいいんじゃない?」と茶化したのだが、ガリ子は「授業料払うのはあたしのほうよ」と幸せそうな顔をする。
バカだ…こいつと思ったような記憶がある。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

*
*