10年頑張れるような / Mail I can work hard for 10 years

たった一言交わした言葉で10年頑張れるような気がしていた頃、僕は何も持ち合わせていなかった。
たった一通の手紙やメールを記憶して、拠り所にして、その中で息をする。
生活できちゃうイマジネーション。
それは不幸でしかないのだけど、それも幸せだったように思う。
もう一度、たった一度でいいから触れたいと思っていたことも、いざ手に入れるとどうしても心は一段回切り替わってしまう。
それは生物学的に当たり前のことなのかもしれない。

宵闇に灯る公団の明かりが嫌いだった。
夜でも話し声が漏れる住宅街を縫って歩く。
街灯の届かない闇の中では、よく野良猫が息を潜めていた。
寒い寒い冬の日。
10年頑張れるようなメールをポケットにしまいこんで、家路を急いだ。
…ずっと、今も、昔も、幸せだったんだ。

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