若い母親が育児放棄の末に子供2人を死なせる。

最近、「ルポ 虐待: 大阪二児置き去り死事件」という本を読みました。
週刊誌やワイドショーで大きく騒がれた育児放棄の事件を綿密な調査の上でまとめた書籍です。
追い詰められた若い母親が真夏のマンションに50日間に渡り、2人の子供を部屋に閉じ込めて死なせます。
育児放棄するなら、道端に放置すれば、まだ他人が気づき助かります。
「なぜ、他のやり方ができなかったのか」を中心に母親の生育歴から追って考察してあります。

出来損ないの母親に見られたくない母親だった。

厳しい父親と精神を病んだ母親の間に挟まれ、不遇の幼少期を過ごした彼女は家庭を持つと自分の人生をやり直すかのように完璧に母親業をこなします。
しかし、1年経つと、燃え尽き症候群のように燃え尽きてしまい、浮気と借金をわざと行い、自ら家庭を壊します。
その後、周囲には完璧に育児をこなしているように振る舞いながら、育児放棄が深刻化していきます。
ただの出来損ないの母親なら、外で置き去りにしたのです。
出来損ないの母親に見られたくない母親だったから、隠すために、部屋に閉じ込めることを選び、結果死に至らしめたのです。

誰だって、自分のイメージを保ちたい。

本著にはそこまでして自分のイメージを保たねばならない周囲の人間関係に問題があったのではないかとありました。
しかし、人は多かれ少なかれ自分のイメージを必死で守るものです。
僕は中学2年生のときにイジメに遭ったのですが、何でもかんでもよく話す自分にしては親には言いにくいものでした。
ゲイであることだって、当たり前ですが、全力で隠します。
結局、根負けしてペラペラ喋ってしまったのですが、こういう場合は下手に我慢強くないほうがいいのかもしれません。

虚構のSNS

この母親は最後はSNSで幸せを演じることに固執します。
FacebookやTwitterなどのSNSは本音のコミュニケーションに使っていいのかどうか、時々迷います。
営業用の言葉に触れれば触れるほど、魂を持っていかれることもあり、元気がないときには僕はチェックしません。
本当に嬉しいときと悲しいときは、事実を静かに感じて、笑ったり泣いたりしたいのです。

Mother and ChildMother and Child / mrhayata

ただ虚しい顛末

事件を起こして、ようやく自分を取り戻した母親には懲役30年の刑が言い渡されました。
全てを失った彼女は今、ホッとしているのではないでしょうか。

ルポ 虐待: 大阪二児置き去り死事件 (ちくま新書)
杉山 春
筑摩書房
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