ずっと座っていなきゃいけなかった。

ずっと座っていなきゃいけなかった。
ずっと座っておくべきだった。
人生は目の前の席がすべてだもの。

ずっと座っていたかった。
ずっと座っていれば。きっと。きっと。
必死だった。
でも、座っていられないのは−。

僕は席を立って、その部屋を出ていってしまった。
そのまま席についていた人がどうなったか気にしたりして。
なにがしかの感情をいつも噛み締めて。

ずっと座っていることに意味があるこの国では席を立つ回数は少ないほうがいい。
そして、立ち上がってしまったのなら、次の席をどこかで手に入れなければいけない。
僕はこんなに小さな自前の椅子で大海を渡らなければいけない。
いつか溺れて命運尽きても、せめて納得できる理由がほしいものだ。

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