HAPPY NEW YEAR 2018

昔の親友はアコースティック・ギターを買った。
高峰のギターが最高だって。
彼はすぐに作詞作曲に取り組みだした。
好きな歌のコードをそのまま拝借して、紡ぐ鼻歌。
メジャーコードばかりののん気な歌。
彼はよく言った。
「よく意味がわからない歌詞が書きたい」
「よく意味がわからない歌詞?」と問い直すと、「そう、よく意味がわからない歌詞」と笑った。
そう言って出来上がった歌詞は、でも、結局わかりやすくて、よく意味がわからない歌詞はもっと斜めにもっと器用にならなくちゃダメなんだろう。
よく意味がわからない歌詞はできないまま、ギターを折る日まで歌は響いた。

不確かな未来を抱えて生きる現代に、よく意味がわからない歌詞はずいぶんと鳴りを潜めた気がする。
わかりやすい言葉すら見過ごされる昨今に、よくわからない歌詞なんて誰も振り向いてくれないのだ。
それでも、大切な人が残すよく意味がわからない言葉を拾い集める余裕がほしい。
不意につぶやいた意味不明な単語がひっそりと部屋の暗がりに消えていく。
そこに希望がなくとも、そこに救いがなくても、そこはきっと紛れもなく愛する人の居場所なのだから。

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