Sad PuppySad Puppy / Aaron E. Silvers

高校3年の1年間、僕は毎日予備校に通っていました。
通信制の高校は週に1回しかありません。
そのため、不規則な生活になりやすかったのです。
そこで、毎日塾に行くことにしました。
そんな理由で通っていたので、向学心はこれっぽっちもありませんでした。
ずいぶん金がもったいないとも思いますが、小さな予備校は僕に社会生活を少しだけ教えてくれました。
通っていた通信制の高校を専門にサポートする予備校だったので、要は学校のメンツがそのまま予備校のメンツだったのです。
学校と予備校と学習会という違った場所なのに、突き合わす顔はほぼ一緒でした。

そんな環境で初めてできた友達は僕より年上でした。
高校を中退した経歴を持つ彼は、福祉関係の資格を取って働きたいという理由でそこにいました。
「ソーシャル・ワーカー」という言葉も彼に教えてもらいました。
カラオケが好きな人で尾崎豊や川本真琴をよく歌ってました。
やがて、彼は同じクラスに彼女ができました。
ロマンチックな彼は「結婚する!」と息巻いてました。
「もう婚約してるんだ」というので婚約リングの話もしました。
暑い夏が過ぎ、秋になりました。

急激に冷え込んだ日の早朝、バイク事故で彼は死にました。
僕は夕刊で知りました。
その日は、同じ予備校の別の友達の母親も亡くなったので、先生が取り乱していて、なんだか塾全体が騒々しい日でした。
一週間ほど経つと、僕はその彼女が死んだ彼の友達にコートを借りて上からかけてもらっているのを目撃しました。
いつの間に2人は付き合うようになっていました。
今考えると、精神的に無理もないかと思いますが、当時から潔癖主義だった僕は憤慨しました。
「なんだ!あれは!ありえない!あいつがかわいそうだ!」と友達には言いました。
結局、卒業までそんな感じで過ぎていきました。
その後、2人はどこかに姿を消しました。
何年も経って「あんたは知らないだろうけどさ、彼女は事故直後、本当に本当にすごく大変な状態だったんだよ」と友達から言われました。

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