わたしを束ねないで / Do not bundle me.

通信制高校での数学は“1+1”から始まる。
これはなかなかの衝撃と破壊力で、僕の中のつまらないプライドを粉々にした。
進学校のすみに建てられていたボロボロの校舎の窓から、部活動をしている全日制の生徒を眺めた。
当時放映されていたテレビドラマの「白線流し」
定時制高校の生徒が全日制高校の生徒に卑屈な感情を吐露するセリフに共感してしまった。
好きで定時制や通信制に行く人はいない。
学校で友達を作る気はなく、授業中もずっとラジオを聴いていた。
ここは自分がいる場所じゃない。
そう何度も何度も言い聞かせていた。
しかし翌年、県内に新たに通信制高校が新設されることになり、転入することになった。
学校の雰囲気は真新しい校舎と同様に一変した。
“1+1”の計算から人生をやり直そうとしてる友達ができると、そのカリキュラムの存在理由が少しわかった。
そして、今は懐かしく思う。

27歳になった僕は仕事を辞めた。
必死になって再就職したのに、また辞めてしまった。
医者から精神科のデイケアを薦められた。
そこは、平日の朝9時から昼4時くらいまで、絵を描いたり、雑草を抜いたり、散歩したり、ビーチバレーをするところだった。
知的障害がある人が半分くらいいて、僕はまたプライドが壊れた気分になった。
公務員を休職している人と「家から出ることは大事だけど、ここにいると気が滅入る」と慰めあった。
医者にその旨を伝えると、「それならあなたがデイケアを仕切るお手伝いをすればいい」と言われた。
僕は「そういう問題じゃない。職員じゃなく患者としているから、気が滅入るんだ」と憤慨してしまった。

人は生きていくなかで、いろんなところに属する。
そして、時々は納得がいかないところに属さなければいけないんだと思う。
どこに属しても自分は自分だと割り切って、自分の目標を見据えてればいいと他人は言う。
しかし、僕はいまだにそんな強くいれない。

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2 Comments

  1. オーノ

    「わたしを離さないで」を思い出し、あの映画の空気感で読みました。
    浪人したり留年したり、将来を迷いながら探してるゲイです。
    このブログはお母さんの次に、心休まるというかホッとするところです。

    • オーノさん

      普段まったくコメントのつかないブログなので、こんな話誰か読んでるのだろうかと思いながら書いてます。
      ホッとしていただけて光栄です。

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