ブラッド・ピットの作品はほとんど観ているんだけれど(「オーシャンズ」シリーズ以外)、この映画は「バベル」と並ぶくらいよくできてる。
老人として生まれ歳月を重ねるにつれ若返っていくひとのはなし。
映画の感想を一言で言ってしまえば”悲惨”になるんだけれど、とにかく普通に歳を重ねる人間がしない苦労をベンジャミン(主人公)は体験する。
生まれてすぐに父親に捨てられたことにはじまり、同年代の子どもと一緒にいるだけでいかがわしくとられてしまう。
「ボクだけなんでこんななの?」ベンジャミンが泣きながら問うと母親は何も言えない。
そして、物語の中盤にベンジャミンが生涯愛した女性が車にはねられる。
足を骨折した彼女は必死につかんだバレエの道を閉ざされてしまう。
いちばん大切なものを奪われた彼女は見舞いにきた一段と若く格好よくなったベンジャミンに当り散らす。
そこで、気づいた。オレもあなたもみんなみんなベンジャミンなんだって。
他人に理解されない少数派の悩みを誰だっていくつか持っている。
それはゲイであることだけに限らない。走ることが苦手、数学が苦手、喋ることが苦手、朝起きるのが苦手。
小さいころから通院をはじめて16年、いつもいつも「なんでオレだけが」とおもって生きてきた。
原因がわからなかったころ、周囲からは”仮病”扱いされたこともある。
それでも時間は過ぎていく。つらい時間もたのしい時間も同じように流れていく。
どんな環境でも精一杯たのしめばいいんだ。自分のやれないことよりやれることを見て生きる。
彼女と彼女との子どものことをおもって去って行ったベンジャミンがなぜか一回だけ会いにきてしまう。
死ぬ前に、わからなくなる前に、もういちどだけ会いたいひとはいますか-。