骨折したままの親指

20年前、兄を殴って骨折したままの親指。
病院で診てもらうと、医師はレントゲンを指して「骨折箇所と関節が重なっていて、よくわからない」と首を傾げた。
そのまま放置したら、関節に突起ができて、今でも触ると鈍痛がするようになってしまった。
骨折するほど殴った理由は、今となっては覚えていないけど、その時のケンカを機に「この人には本気でぶつかっても何も響かないんだ」と学習した気がする。
殴り合うことは一切なくなった。

真剣に訴えても、どんなに強く殴打しても、自分の指が折れただけだった。

もう10年近く兄に会っていない。
兄嫁が実家を壊して、もうそんなになる。
殴り合っていた頃、家族一同の席からまさか自分のほうが消えるなんて思ってもみなかった。

僕が許せないのは実家を壊した兄嫁じゃない。
壊すことを黙認した兄だ。
そして、思う。
まだ、僕は兄に何か期待しているのかと。

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