暴走族、わが凶状半生

僕は高1の時に少し長めに入院したことがあったのですが、その時2人用の病室で一緒になったBさんという人がいました。
あだ名の由来はとく覚えていないのですが、僕は彼をBさんと呼んでいました。
Bさんは暴走族でした。
走っている最中に田んぼに突っ込んで腰に大怪我をしてしまい、その後、腰に激痛が走るようになり、現代の医療ではこれ以上の回復は無理だそうです。
だから、仕事もクビになったということでした。

人と話すことが苦手だった僕を気遣って、Bさんは自分からいろんな話をしてくれたので、すぐに仲良くなりました。
僕が自律神経の調子が悪くて塞いでるときは「お前の病気は思春期の風邪みたいなもんで大人になったらスカッと治る!」が口癖でした。
ろくに友達がいなかった僕でも過剰にコミュニケーションをとってくれるBさんは頼れる兄貴みたいで僕は当時とてもなつきました。

しかし、退院するとだんだん疎遠になって、歳月は流れ、僕は学校を卒業し、就職しました。
そして、さらに数年経ったある日、親から突然電話でありました。
「たかひろ君の友達のBと申しますがたかひろ君いらっしゃいますか?」と実家に電話がかかってきたそうです。
僕は話を聞いても一瞬誰かのことかわからなくて「え、あのBさん!?」と驚きました。
Bさんは「連絡して欲しい」と母に携帯の電話番号を伝言したようでした。
僕は入院中のBさんの笑顔を思い出しました。
初めて人に心を開くということを教えてくれた人でした。
でも、電話はかけませんでした。

この記事も読まれています。