太郎は紫陽花に囲まれて

ロシアンブルー (キャットライブラリー)

祖母の飼っている猫の兄妹の片割れ、太郎がこの前死んだので、ペットの葬儀屋に連れて行った。
祖母の家に迎えに行くと太郎は玄関の薄い段ボールに入れられていて、あまりに小さくて俺はそれが太郎だと気づかなかった。
俺が小学5年生のときに太郎は花子と2匹で祖母のところにもらわれてきた。
知人が見つけた野良猫の子供で、最初は1匹だけ飼おうと思っていたらしいけど、じゃれる2匹から1匹だけを選べなかったみたい。
2匹は去勢の手術を受けた。人間のエゴだけど、繰り返される悲しみの連鎖は要らない。
それから19年経った。
太郎はのんびりした性格でケンカも病気もせず、死ぬ数時間前まで元気だった。
それでもここ数年は老齢により食が細くなってしまい、がっちりしていた体はやせ細っていた。
焼かれる前にカッと見開いた目を伏せてあげたかったけど、少し上から押したぐらいじゃ動かなかった。
焼却スイッチは祖母が押せなくて俺が押した。
太郎お疲れ。
また会おう。
曾祖父が死んで曾祖母が死んで祖父が死んで、祖母が葬儀で大切な人を見送るとき、俺もいつも横にいて見てきた。
生きるってことはそういうことで、そしてそれはすごく素晴らしいこと。
雨がしとど降るなか、傘をさして祖母の小さな背中に並んだ。

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4 Comments

  1. たかひんの優しい気持ちに涙が出てきました。
    いい子に育ったねぇ~(涙)
    また近々会えるのを楽しみにしています。

  2. 太郎くんのイラストを見たらかわいいね!会ってみたかった。
    今度どこかで会おう。

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